【社説】北朝鮮産石炭を調査しても北には一切言及しない韓国政府 ( アジア情勢 )

記事入力 : 2018/08/08 11:13

【社説】北朝鮮産石炭を調査しても北には一切言及しない韓国政府

北朝鮮産石炭の韓国への輸入を巡る疑惑の実態が明らかになりつつある。韓国電力の子会社・南東(ナムドン)発電は昨年11月から関税庁の調査を受けてきたが、その後今年3月に問題の石炭を使用したことが分かった。南東発電は7日「関税庁は調査の際、北朝鮮という言葉を1回も使わなかったため、何の問題があったのか分からなかった」と説明した。実際に南東発電が保守系野党・自由韓国党の尹漢洪(ユン・ハンホン)議員に提出した資料を見ると、関税庁は石炭が輸入された経緯、航路、成分などについて調べたことが記載されているが、「北朝鮮」という言葉はなかった。

 「南東発電は問題の石炭が北朝鮮産だったことを知っていたか」が今回関税庁が調査を行った理由のはずだが、それについて南東発電は関税庁から質問を受けなかったというのだ。その一方で関税庁は外部に対しては10カ月にわたり「調査中」として説明していない。これでは調査ではなく調査のふりをしていると言わざるを得ない。南東発電も「炭鉱はロシア本土にあるのに、なぜサハリンで貨物船に積まれたのか」との質問に「そのことは全く知らなかった」としか答えなかった。これは一体どういうわけか。

 昨年末に南東発電向けに「北朝鮮産石炭」を運んだ貨物船は今月4日から今も浦項に停泊している。昨年10月と同じくロシアから5100トンの石炭を運んできたようだが、今回も北朝鮮産をロシア産と偽っている可能性が高い。

ところがこの貨物船を調査した韓国政府はこの日「石炭はロシア産で、安保理決議に違反した容疑は認められない」と説明した。

この貨物船だけでなく問題の石炭を運んだとされる9隻の貨物船は、これまで数十回にわたり韓国の港湾を何の制止も受けず出入りしてきたが、韓国政府は1回も抑留していない。「昨年末に北朝鮮産石炭を搬入したとされる容疑がまだ確定していないため、抑留はできない」というのが政府の説明だ。

しかし「北朝鮮産の可能性が高い」との情報を最初に提供したのは米国だ。韓国政府も内々では「北朝鮮産」と結論づけているようだ。だとすれば問題の貨物船に対して韓国の港への入港を事前に拒否するか、あるいは入港した貨物船に対しては徹底した調査を行わねばならない。これらの貨物船は石炭だけでなく、鉄鉱石や海産物など国連安保理によって輸出入が禁じられている北朝鮮産を中国やロシア産と偽って持ち込んだ可能性もあるからだ。

 米ホワイトハウスボルトン国家安全保障補佐官は6日にテレビ番組に出演した際、韓国が北朝鮮産の石炭を輸入した問題について「(対北朝鮮)制裁の厳格な履行を求めるのが米国の立場だ」と明言した。制裁違反は誰によるものでも容認しないという警告にも聞こえる言葉だ。韓国企業が米国の制裁リストに記載されるなど、想像もできないことだ。韓国政府は韓国企業に被害が出ないよう全力で対応しなければならないのはもちろん、産地が偽装された北朝鮮産の国内流入阻止にも政府次元での対応が必要だ。ところが昨年10月以降、北朝鮮産石炭問題について政府はその対策を検討する会議さえ1回も行っていないという。これでは北朝鮮に対する制裁に参加する意志そのものが疑われるのも当然だ。

 一部では韓国政府は4月の南北首脳会談、6月の米朝首脳会談などを考慮し、北朝鮮を刺激しかねない今回の問題について適当に見過ごそうとしたが、意図しない形で問題が拡大したとの見方もある。北朝鮮の核問題で最大の被害者となる韓国が、北朝鮮制裁の抜け穴になっていると国際社会に疑念を抱かせるわけにはいかない。政府は一日も早く北朝鮮産石炭が輸入された経緯を公表し、問題の貨物船に対しては入港禁止などの対応を直ちに取らねばならない。

朝鮮日報朝鮮日報日本語版